作家：ジョルジュ・ルオー作品名：「『ミセレーレ』より　我ら自らを王と思い」年代：1923年技法：ヘリオグラビュール・シュガーアクアチント・ドライポイント 他　ed.450イメージサイズ：58×42cm額サイズ：83.3×66.1×3cmサイン：版上有20世紀フランスの巨匠・ルオーによる、版画集『ミセレーレ（MISERERE）』に収録された作品です。『ミセレーレ』とは、ラテン語で「慈悲」を表す言葉。当初、父の死をきっかけに1912年頃から制作された第一部を「ミセレーレ」、1914年の第一次世界大戦勃発以降に取り組む第二部を「戦争」と名付け、二部構成から成る全100点の連作として構想されていました。その後、画商ヴォラールの発案で1922年から1927年にかけて完成した白黒銅版画全58点に厳選し、刷り師・ジャックマンの手により500部印刷されることとなります。ヴォラールは自身が没するまで作品を手元に置き続けますが、戦乱やヴォラールの死を経て、彼の遺品の中から発見された版画にはいくつかの欠損・破損が生じていました。そのため、1948年にようやく450部限定にて刊行されるに至ったのです。「我ら自らを王と思い」は、慈悲をテーマとした第一部の7点目に当たる作品です。冠を被り、一瞥をくれる男。付けられた画題には、特定の身分や階級を超えて、私利私欲に溺れ尊大に振舞うあらゆる人々を痛烈に批判する、ルオーの強いメッセージが込められているのかもしれません。人間の孤独や寂しさ、不条理や愚かさをあぶり出し、避けられない死と、キリストによる救済と向き合った『ミセレーレ』は、ルオーの画業における最高傑作です。画面左下には、ルオーの版上サインと、原版の制作年がございます。幅4cm程の黒金の額を合わせてあります。赤みのあるアンティークゴールドの色合いが、作品とよく調和しています。100年以上もの年月を経た版画のため、シートにはヤケが見られます。また、年代物の額にも小傷やスレなどの経年変化が生じています。展示する上でほぼ気にならない程度と感じますが、古い作品の特性として予めご理解ください。反射の都合上、アクリル板を抜いて撮影しています。実際の色味とは若干異なっている可能性…