一級品近代以降マイセンの長い歴史の中でも一際輝いていた時代。現代においても人々が憧憬を持って振り返る時代。ボタン剣と呼ばれるその時代、マイセンに天賦の才を持ち尚且つ努力を惜しまぬ一人の人物がいました。ユリウス・エドゥアルト・ブラウンスドルフ氏 (1841年～1922年)は1858年にマイセン磁器製作所に入り1906年に辞めるまで、その生涯はマイセンと共にありました。その間、1900年には自ら制作を続けるかたわらマイセン附属絵付師養成学校の教授となっています。ブラウンスドルフは「自然主義絵付の巨匠」と呼ばれる人物ですがそれまでの色絵付の技法に「光」の表現を取り入れた全く独自のスタイルを確立しました。ブラウンスドルフ様式は自然主義様式の一つではありますが、当時一世を風靡していた印象派の絵画に強く影響を受けたことは現存している彼の作品を見ても明らかです。時代は移り残念乍らマイセンにおいて印象主義は存続出来ず、技術は継承されませんでした。現在は自然主義に印象主義を加味した作品が極めて稀に制作されているだけのようです。ただそれも時間やコストの制約という商業ベースに則って考えれば仕方のないことかもしれません。こちらはその数少ない中の一枚です。「端正」という形容がピッタリかもしれません。色遣い、サイズ感、配置等。非の打ち所の無い、まるでお手本のような様式美です。自然主義・印象派作品はその殆どが受注制作ですので、この作品の場合ですと菊の本数、色、ペインターに至るまで希望を伝えることが出来ます。ペインターによっては何年も待たされることがあり、そういった時の為に第一～第三までの指名を入れるように云われます。しかしながら、すでに引退されていて希望が叶わないこともしばしばです。状態は近代の作品らしくカトラリー痕や金縁の薄れなどの無い美品です。明日から９月。重陽の節句も間近です。菊酒に酔いしれつつ、新旧の菊を愛でるのも一興でしょう。ご検討頂けましたら幸いです。（御参考）直径：約 25.8 cm#陶磁器#Meissen#マイセン#KPMベルリン#ドレスデン#印象主義#印象派#ソフトペインティング#ブラウンスドルフ#ブラウンズドルフ#手描き#キャビネットプレート